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絶望の向こう側へ進むには 第7回、購入:楽天ブックス(みすず書房)、ヴィクトール・E・フランクル(池田香代子訳):夜と霧 新版。

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絶望の向こう側へ進むには 【第0回】
【第1回】 【第2回】 【第3回】 【第4回】
【第5回】 【第6回】



壕のなかの瞑想



『資質に恵まれた者が
収容所生活で経験する
内面化には、
空(むな)しく殺伐とした
現在や
精神的な貧しさから
過去へと逃れるという
道も開いていた。』


『自分を取り巻く現実から
目をそむけ、
過去に目を向けるとき、
内面の生は
独特の徴(しるし)を帯びた。
世界も今現在の生活も
背後にしりぞいた。
心は憧れにのって
過去へ帰っていった。』
(夜と霧新版P64)


路面電車に乗る、
うちに帰る、
玄関の扉を開ける、
電話が鳴る、
受話器を取る、
部屋の明かりの
スイッチを入れる、
というような
日常を追想し、
胸がはりさけそうになり
涙を流すことも
あったそうです。


悲哀で満たした、
と書かれています。


当たり前と思っていた日常が
実は、
すごく大切なことであったか。


安定した日常は
当たり前のように感じるけれど、
その日常を継続できる、
というのは
本当は、
すごく大変なことである、
ということを忘れがちです。


慣れというのは
心理学では
「馴化(じゅんか)」
というらしいです。


刺激を常に受けていると
慣れてしまって
反応しなくなる。


これは全ての刺激に対して
反応していたのでは
精神も大変ですから、
同じ刺激に対しては
反応しなくなることで
精神の負担を
軽減しているようです。


精神を守るための
機能なのでしょうか。
人はどんなことにも
慣れてしまう、
というのは
この機能が
関係していそうです。


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『被収容者の内面が深まると、
たまに芸術や
自然に接することが
強烈な経験となった。
この経験は、
世界や
しんそこ恐怖すべき状況を
忘れさせてあまりあるほど
圧倒的だった。』
(夜と霧新版P64)


フランクルは


「人生の意味」


について
3つの価値をあげています。


「創造価値」


「体験価値」


「態度価値」


そのひとつ、


「体験価値」


について書かれています。


前回、
妻を愛する力で
精神を維持していたことを
書きましたけれど、
「体験価値」
というのは、
人や自然のつながりの中で
実現される価値です。


妻と愛し合っていた経験、
それを想い、愛すること。
これも体験価値のひとつと
言っています。


芸術、自然に対する感動も
体験価値のひとつで、
その感動は
恐怖を忘れさせるには、
圧倒的な心の動き
だったようです。


『護送車の鉄格子の隙間から、
頂(いただ)きが今まさに
夕焼けの茜色に照り映えている
ザルツブルクの山並みを
見上げて、
顔を輝かせ、
うっとりしていた。
わたしたちは、
現実には終止符を打たれた
人間だったのに
―あるいはだからこそ―
何年ものあいだ
目にできなかった
美しい自然に魅了されたのだ。』


『ある夕べ、
わたしたちが労働で死ぬほど疲れ、
スープの碗を手に、
居住棟のむき出しの土の床に
へたりこんでいたときに、
突然、
仲間がとびこんで、
疲れていようが
寒かろうが、
とにかく点呼場に出てこい、
と急(せ)きたてた。
太陽が沈んでいくさまを
見逃させまいという、
ただそれだけのために。』
(夜と霧新版P65)


自然の圧倒的な美しさに
感動し、
生きる意味を
実感していました。


体が疲れていても
寒くても
圧倒的に死に近い
環境であっても
その感動には
それだけの価値があって、
劣悪な環境、
変えることのできない環境
であったからこそ
その中で得られる
感動というのは
生きることを
実感させ、
どんなことよりも
優先されたのでしょう。



それだけ、
心という存在は
人間にとって
大きな存在です。


そして
感動という存在は
人を満たしてくれます。



美しさや
感動というのは
人それぞれ違います。


同じものを見ても
感動する人いない人、
同じ物語を見ても
感動する人いない人、
それぞれです。


過去の蓄積や
そこまでに
構築された価値観、
心の状態、
様々な要因があります。


子供よりも
大人の方が
経験が多いですので
共感部分や
逆に人生において
満たされなかった
欠落部分も含め
心が反応する部分が
多いはずです。


年齢を重ねれば
涙もろくなるのは
そういった理由なのかも
しれません。



私の経験を
書かせていただきますと、
私が子供のころに
感動した、
という体験は
ほとんどありません。


アニメやゲームで
感動したことは
ありましたけれど、
普段の日常を
えがいたような映画で
感動するなんてことは
大人になってからですし、
自然の良さや楽しさ、
自然から感動することも
大人になってからです。


子供のころは
わかりやすい刺激に
反応しますし、
求めます。
心の部分でも
わかりやすいものに
反応しやすいです。


例えば自然についてですが、
自然の良さを
楽しむというのは、
自然の中から
自ら、良さを見つけて
自ら、楽しむ力がないと
できません。


自然はテレビやゲームのように
娯楽性の刺激を
提供するわけではありません。


楽しさを自ら見つけ楽しむ力。
そういったものがないと
自然は楽しくないように
思っております。


楽しさの提供を待っている
受け手の人には
自然の楽しさや魅力の
ほんのちいさな部分しか
知らないでしょう。


ですから、
子供のころ、
旅行というものが
楽しいと思ったことはなく、
自然豊富な地元に
魅力を感じず、
都会のほうが
なんでもそろっていて
楽しそうだと
思っておりました。
ネット環境が
充実していない時代です。


自然の良さを
わかり始めたのは
最近のことで
5、6年くらい前からです。
ブログを書くようになり、
写真を撮るようになり、
様々なところに
行くようになってからです。


美しさもそうですが、
そこから感じる
やわらかさとか
やすらぎや
自然の生命力など
体全体で
感じられるものがあって、
そういったものを
楽しむのは
大人になってからです。


感動のポイントというのは
大人の方が多いと
感じています。


心の成熟とも
関係しているかも
しれません。



もうひとつの経験として、
感動で命を救われたことも
あります。


人生のどん底ともいうべき
時期があって、
命を捨てようと
本気で覚悟したときが
あったのですが、
(社会人なりたての
ころのことです。)
立ち直るときに
私がとったことは
ひたすら映画を観たことでした。


人間不信でしたから
誰も相談することも
頼ることもできません。
ひとりで
なんとかしなければ
なりませんでした。


そこで
好きな映画、物語に
頼ることになったのです。


映画の中で描かれている
様々な人生や
そこで動く感情や心。
そういったものに触れて
私自身も感動し、
物語と心を共感することで
なんとか
死の淵から
離れることができました。


感動というのは
すごいものです。


その後、
見える世界が違うといいますか、
心が以前よりも
軽くなったといいますか。
立ち直ったことで
心も強くなりました。


これは私の経験からくる
ひとつの例に
すぎませんが、
感動というものは
大きな存在です。
心が柔らかくなります。



収容所の芸術



歌や詩、皮肉ったギャグ。
こういったものは有用だった、
と書かれています。


体験価値というのは
どちらかというと
受動的なものですが、
ここで価値があると
言われているものは、
心を動かすことのようです。


愛すことも、
感動することも、
何かしら感情を
表すようなことも。


心を動かすようなことに
価値がある、
というのは
だれもが理解できるとは
思いますが、
それが人生の意味のひとつとして
大事なものだと
フランクルは
言っているようです。


心のない世界というのは
実に魅力のない
つまらない世界です。
無機質の物質として
存在するだけなんて
生きているとは
言い難いでしょう。


それだけ
人間にとって
心というのは
大きな存在です。


けれど、
そこを切り落として
無機質にして
使いやすく
してしまうのも
また人間なんです。


続く。



【出典・参考】
夜と霧 新版 
池田香代子訳 ヴィクトール・E・フランクル
みすず書房

NHKテレビテキスト 100分で名著
フランクル 夜と霧
諸富祥彦
NHK出版



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M's EXPO(エムズエクスポ)
岩手県盛岡市みたけ3-36-1



絶望の向こう側へ進むには 第8回

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岩手県盛岡市在住。もりおかの中から感じたことを書いております。個人的なブログです。【このブログについて】

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