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前へ進め、盛岡市高松(盛岡市立図書館)、エクトール・マロ:家なき子。

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春になると
児童文学を読みたくなり、
久しぶりに
図書館の児童書コーナーへ行き、
本棚を見ておりますと
家なき子がありました。


子どもの頃、
BSの再放送でアニメを見ておりまして、
手に取りました。


そのアニメは
1977年~1978年に日本テレビで
放送されたものです。
日本テレビ開局25周年で作られたアニメで
立体アニメーションと銘打って
背景の雲が何重にもあって、
常に動いているアニメでした。
その雲が印象に残っております。
立体メガネをかけなくても
立体に見えるそうで
メガネをかければより立体に見える
アニメらしいのですが、
私は立体に見えたことは
一度もありません。
コツがあるようです。


日本では、何回かアニメ化されておりますし、
安達祐実さんが子役で主演をされた
1994年のドラマ、
「同情するなら金をくれ」
が有名の家なき子も
この児童文学家なき子のオマージュらしいです。


原作は
エクトール・アンリ・マロ
フランスの人です。
1878年に出版された
児童文学の古典です。


家なき子のほかに
家なき娘というのもあり、
フジテレビ系でやっていたアニメ
世界名作劇場の「ペリーヌ物語」の
原作がこれです。


19世紀の児童文学では
グリム兄弟のグリム童話(ドイツ)、
アンデンルセン(デンマーク)、
ルイス・キャロルの不思議の国のアリス(イギリス)。
ウィキペディアですと
このあたりが紹介されております。
この時期、同じフランスで出版された代表的なものでは
ジュール・ヴェルヌの海底二万里(1870年)
があります。
(こちらは児童文学というよりも
SF冒険小説というくくりです。)


少しずれますが、
現在、大ヒット中の
ディズニーアニメ「アナと雪の女王」の原作は
アンデルセンの「雪の女王」です。


家なき子が日本に入ってきたのは
明治のころ。
宮沢賢治さんも子どもの頃読まれて
感銘を受けたといいます。
賢治さんが好きそうなお話ですし、
日本人との相性が良いと思います。


あとがきに書いてある
マロを研究しているアニエス・マルヴィルの
言葉をそのまま引用しますと


「マロが大切にしていた思いの数々、
旅行好き、子どもたちへの愛、
意思の鍛錬、社会的不当の告発、
友情と率直と親思いの賛美が、
彼のすべての作品の中で、
もっとも豊かにもりこまれている。」


とあるように
フランスを旅して
様々な困難に遭遇しながら
成長していくお話で、
苦労話や家族愛、友情愛、正義感が
ぎっちりと入ったお話です。
主人公であるレミの
心の形成、成長を大事にしています。


このお話はマロの愛娘リュシー・マロに向けて
作られたもののようです。
巻頭には、リュシーに捧げる言葉があり、
「この本はいかなる成功にも負けない喜びを
あたえてくれた本」
と書かれており、
リュシーがこの本を読んでくれる喜び、
リュシーに捧げるうれしさ、は
この本が売れることよりも大事であることが
読みとれます。


内容の最初のほうを簡単に書きますと


「ぼくは拾われた子だ。」


と始まります。
主人公のレミは
バルブランに拾われた子です。
なぜ拾ったかというと
産着が高価なもので
金持ちの子どもと判断したバルブランは
育ての親となって
後々、謝礼金をたっぷりといただこうという
取らぬ狸の皮算用的な打算によって
家に連れ帰ったわけです。


バルブランは
石工としてパリに出稼ぎにいっており
実質、育てたのは
バルブラン母さんで、
愛情を注ぎ育てます。
レミも8歳までバルブランを
見たことがありませんでした。


けれど、バルブランがパリから
帰ってきました。
仕事中に怪我をしてしまい
石工の仕事は出来ない身体に
なってしまいました。
収入がなくなったバルブラン家。
まず、雌牛のルーセットを売り
なんとかお金を作りますが
それも一時的な生活費にしかなりません。
そこで、レミを孤児院に預けよう
という話しになりました。
産みの親は8年も探しにこないので
謝礼金はあてにできないし、
レミ自身は畑仕事が出来るほど
力はありません。


バルブランはレミを連れて
村長に会いにいきます。
県の福祉施設課に村長から話を通してもらって
養育費をもらおう、という考えのようです。


途中、カフェに立ち寄ります。
そこで不思議な格好の老人と出会います。
犬を三匹連れています。
ヴィタリスです。
後にレミに大きな影響を与えます。


ヴィタリスは
レミが拾われた子どもと聞くと
買いたいとバルブランに申し出ます。
ヴィタリスは旅芸人で
3匹の犬と1匹の猿を使って
芸をさせていました。
レミを見て、頭の良い子だと判断した
ヴィタリスは40フランで買います。
レミはバルブラン母さんに
別れを告げることもできず
ヴィタリスと旅に出るのでした。


レミはヴィタリスと旅する中
芸を覚え、
言葉を覚え、
地図の読み方を覚えていきます。
ヴィタリスはイタリア人で
悪い人ではなく、教養のある人で
生きる上での心構えを
教えてくれます。


訪れる町や村で興業しながら
旅をするのですが、
途中、ある町で
警官に目を付けられます。
いろいろな理由をつけて
芝居をやめろといいます。
けれど、ヴィタリスは
その警官を逆手にとって
人集めに使えると考え、
あれこれと理由をつけて
その場を退きません。
怒った警官は
レミに手を出そうします。
そこをヴィタリスが警官の手首をつかみます。
子どもに手を出すことは許しません。
けれど、これが公務執行妨害となって
裁判にかけられ、
有罪となり、牢獄行きとなります。
2カ月です。


レミたちは宿に泊っていましたが
代金を払えませんので
その場を出ます。
レミと動物たちだけで
興業しなければなりません。
けれど、うまくいきません。
パンも底につきます。
お金もありません。


というあたりが
家なき子上巻の真ん中あたりまです。


その後、
白鳥号との出会い、
そして別れ。
ヴィタリスとの再会、
そして別れ。
花農家での暮らし、
そして別れ。
親友となるマチアとの出会い。
バルブラン母さんへ雌牛を買うための旅。
鉱山での暮らし。
そして鉱山に閉じ込められる。
そして別れ。
バルブラン母さんとの再会、
産みの親の手がかり、
そしてまた旅、イギリスへ。
ドリスコル一家との暮らし、
そして逃亡。
本当の親を探し、旅。


レミは純粋な子です。
疑うことを知りません。
子どもですし、
世間もよくわからないまま
旅をします。
旅ができたのも
ヴィタリスの影響が大きく、
ハープを弾いたり、
歌を歌ったり、
そういった芸を教えてくれたり、
人生の歩み方を教えてくれた
ヴィタリスがいなければ
旅をすることはできなかたったでしょう。
そのヴィタリスの目にとまったのも
バルブラン母さんが愛情を注ぎ育てからで、
レミもバルブラン母さんを愛していました。
でなければ、200フラン以上もする
雌牛を買ってプレゼントしよう、という
行動には出ないでしょう。


レミは結局のところ、
お金に振り回されれました。
レミは裕福な家庭の子どもですが、
遺産相続の問題に巻き込まれ
捨て子となりますし、
拾われたのもお金目当てです。
旅をしているときは
マチアと出会うまでの興業は
すごく大変な生活をしていて
常にお腹を空かせておりましたし、
花農家も借金が問題で
離れ離れになり、
ドリスコル一家でも
お金が絡んでいます。


このお話は
友情や家族愛が目立つ物語ですが、
それをより強くしているのが
貧しい生活などの経済が
背景としてあります。


この物語は
19世紀のフランスです。
その時代はどうだったのか。


詳しくはありませんので
簡単に調べたことを
書いてみますと、
18世紀後半から
フランス革命が起きます。
大きな税をかせられ
その搾取したお金で
裕福な生活をしていたルイ16世。
フランスではずっとそういった
体制が続いていてのですが
ルソーたちのおかげで
ようやく、おかしいことに気がついた
フランス国民は、怒り、
貴族へ反抗します。
その後の内乱で頭角を現した
ナポレオンがクーデター。
革命期をすぎ、
19世紀に入っても
政治は安定せず
7月王政、第二共和制、第二帝政、第三共和制
といろいろと変わっていたようです。
経済のほうは、
19世紀になって
ようやくフランスにも産業革命の波が来て
市民階級も収入を得るようになります。


マロは児童文学以外にも
小説を多く書いていました。
社会正義を追求し、
金に毒される
政界、法曹界、財界、パリ社交界、医学界等々、
フランス社会の裏表を描いていたようで、
バルザックの後継者とまで
言われていたようです。
どの国でも
金と権力の問題はあるようです。


社会派の小説を書いていたマロにとって
金の問題を見てきたこともあって、
それが自然と児童文学にも
反映されたのかもしれません。


こうやってみますと、
レミたちが旅芸人として収入を得られたのも
タイミングよく
産業革命の影響がフランスにも来て
市民階級でも収入を得て
余裕が出る人々が増えていたから、
興業をして収入を得ることが
出来たのかもしれません。


いや、どんな時代、環境においても
前に進む気持ちがなければ
生き抜くことはできなかったでしょう。
お師匠さん(ヴィタリス)は
レミにいつも
「前へ、進め」
と言っていました。


エクトール・アンリ・マロが
愛娘リュシーに向けて
大事なことを贈った物語です。


今の時代にないものが
たくさんつまっているように
思います。



【参考・出典】
家なき子 エクトール・マロ
訳:二宮フサ
偕成社



【参考】
青空文庫-図書カード 家なき子
ウィキペディア-家なき子
ウィキペディア-家なき子(1994年のテレビドラマ)



盛岡市立図書館
盛岡市高松1-9-45
019-661-4343
平日:9:00-18:00
土・日・祝日:9:00-17:00
休館日:月・年末年始(12/29-1/3)・図書点検期間



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